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最速レビュー! アニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」 

早速、2020年12月25日公開のアニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」を鑑賞しました。何気に公開初日に映画観るのは初めてです。

 

ハァァ…   まだ余韻がありますね…。

 

9:30からの上映でしたので最速?と勝手に思っています。

原作や実写映画に続いて、非常に感情豊かな作品になりました。

とても良かったので、是非劇場で見てほしいです。

レビューは冬休み・お正月に映画館で観る作品の選択肢として参考にしてください。

できるだけ本編の内容に触れないように配慮します。

 

 

 

「ジョゼと虎と魚たち」とは?

 

原作は新源氏物語で有名な田辺聖子さんが1984年に発表した短編恋愛小説です。

2003年に妻夫木聡さんと池脇千鶴さんの主演で実写映画化されていますので、その作品から入った方も多いと思います。(私もその一人です。)

 

joseetora.jp

 

当時人気の絶頂だった妻夫木聡さんと実力派女優の池脇千鶴さんの濃厚でエロティックな絡みも話題になりました。

障害者を扱う文学としてもそういう角度は珍しかったかもしれません。

ただし、内容はむしろ障害に焦点を当てたものではなく、恋愛と青年の葛藤を描いていましたので、暗く重い内容ではなく日本映画特有の静寂と間、ノスタルジックな映像美のほうが印象に残っています。

 

今回のアニメ化では、ティザー映像含めカラフルで可愛らしいタッチになっていますので過去の実写映画との対比も面白いかもしれません。

 

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 (引用:natalie.mu)

 

www.youtube.com

 

1.スタッフ

 

劇場アニメ(以下引用:wikipedia.org/wiki/ジョゼと虎と魚たち)

 

監督のタムラコータローさんは私が大好きなアニメ「ノラガミ」でも監督された方です。

そしてキャラクター原案は絵本奈央さんです。

かなり可愛らしいキャラクターデザインになっていますので物語の明るい部分や青春を表現するシーンは躍動感があって素敵で、悲しい場面でも愛らしさが溢れていました。

Eveさんの歌もいい!泣きそうになりましたよ(笑)。

 

 

2.あらすじ

 

趣味の絵と本と想像の中で、自分の世界を生きるジョゼ。
幼いころから車椅子の彼女は、ある日、危うく坂道で転げ落ちそうになった
ところを、大学生の恒夫に助けられる。


海洋生物学を専攻する恒夫は、メキシコにしか生息しない幻の魚の群れを
いつかその目で見るという夢を追いかけながら、バイトに明け暮れる勤労学生。


そんな恒夫にジョゼとふたりで暮らす祖母・チヅは、あるバイトを持ち掛ける。

それはジョゼの注文を聞いて、彼女の相手をすること。
しかしひねくれていて口が悪いジョゼは恒夫に辛辣に当たり、
恒夫もジョゼに我慢することなく真っすぐにぶつかっていく。

そんな中で見え隠れするそれぞれの心の内と、縮まっていくふたりの心の距離。
その触れ合いの中で、ジョゼは意を決して夢見ていた外の世界へ
恒夫と共に飛び出すことを決めるが……。

 

(引用:jyoseetora.jp)

 

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(引用:natalie.mu)
 

3.実写映画との違いとシーンについて

 

2003年の実写映画では、始まりから恒夫の駄目さ加減と怠惰な状況のシーンでした。

雀荘の明け方にジョゼと出会います。不気味な乳母車を押す老婆とジョゼの登場シーンは少しホラーがかっていましたよね。

しかし今回は全然違いました。

まず乳母車ではなく車いすになっています。もちろん坂道を疾走する出会いのシーンは今回も見どころですが、一層アニメらしいファンタジー感が出ていました。

そして恒夫が全く持って駄目でない、むしろ見本にしたいくらいの勤労学生になっていました。

 

 

舞台は現代の大阪です。スマートフォンもあるし、電動車いすも出てきます。

ジョゼの家に光ゲンジのポスターが貼ってあったことは、時が止まったような印象を受けました。それだけ社会と隔絶した環境なんですね。原作者へのオマージュもあるかもしれません(笑)。

 

 

実写映画ではジョゼが作る料理は家庭の味に飢えた恒夫にとっての拠りどころで、2人を繋ぐきっかけにもなりました。

なぜか今でも料理のシーンは鮮明に覚えているのですが、お婆ちゃんが作るような和食だったこと以外どんな料理か思い出せませんね。とにかくめちゃくちゃ美味しそうに食べていましたよね。

今回は最初のみ料理が出てきましたね。しかも実際にお婆ちゃんの作ったものでした。たこ焼きとか(笑)。

ちょっと楽しみにしていたので残念です。

 

 

そして、実写映画では鬱屈とした質感のジョゼの家や部屋は雑然として清潔感のない印象がありました。 それは足が不自由な障害者と老婆の生活の現実感。

今回はそういった表現はほぼありませんでした。お婆ちゃんとの2人暮らしの古い日本家屋ということはありましたが、ジョゼの部屋はファンタジーに溢れていましたね。初めて目にした恒夫がハッとなったのも頷けます。 

 

 

恒夫をきっかけに外の世界を知り、卑屈だった性格の裏にある少女の夢や希望と今そこにある現実…。

ジョゼが外の世界で初めて触れるものに感動する顔がキラキラして素敵でした。 

海、動物園、図書館、クレープも。視界が開けたような新鮮さです。

特にお婆ちゃんの隠れたはしゃぎようは必見ですよ。 

 

 

恒夫の子供の頃の話で、クラリオンエンゼルという魚が出てきます。

本来メキシコの海で群れを作る魚が熱帯魚ショップに一匹だけいたこと、気になって頻繁に見に行ったことを話します。

それをジョゼが自分自身に例えることは、寂しかった世界に恒夫が光を指してくれたことへの感謝の婉曲表現として、皮肉屋のジョゼの素直になれない気持ちに気づかされます。

 

 

夢に向かって動き始める恒夫と障害のために制限された生活を送るジョゼの現実に起こる差は決して目を背けられないです。

しかし後半ではそれが入れ替わり、重なり、成長していきます。

特にダイビングショップのバイト仲間で恒夫に想いを寄せるマイさんがいい味を出していました。

初めて感情をむき出しにして、ジョゼにぶつける不器用さが良かったです。おそらく正気ではいられなくするのが恋なんでしょうね(笑)。思わず出た東北方面の方言も可愛かったです。

 

 

夢を諦めかけた恒夫に、勇気を振り絞ったジョゼが紙芝居を見せます。

このシーンで涙をこらえました(笑)。 

卑屈だったジョゼを変えた恒夫が、今度はジョゼから夢を諦めない勇気をもらいます。

 

 

4.感想

 評価: ★★★★☆

 

最初に言っておきます。

実写映画や小説とは別物と思ったほうがいいです。

原作の設定を踏襲した現代版のアレンジと結末ですね。

 

ジョゼ役の清原果耶さんが大阪出身ということもあり、関西弁はもちろんのこと、感情豊かで非常に強く印象に残りました。

私はアニメ映画には声優さんを起用すべき派ですが、女優さんの表現力はすごいですね。考えが変わりそうです。それぐらい素晴らしかったです。

 

物語は大きくは前半と後半で分かれ、前半はジョゼを中心に、後半は恒夫中心にフォーカスが当たります。少しだけ空気感も変わりますが、全編ポジティブな感情の起伏とぶつかりがありました。

キラキラした青春とお婆ちゃんが亡くなった後の(障害者の)現実が交錯し、そのギャップでより一層後半の切ない物語を印象付けました。

やっぱりアニメになってもその部分は避けて通れないですよね。 

ジョゼの髪型の変化で意を決した様子が分かりました。(それはお婆ちゃんと同じ髪型でしたね。)

 

キーポイントはクラリオンエンゼルでしょうか、人魚姫の話でしょうか。

どちらもジョゼに例えられたもので最後は前に向かって進むための象徴です。

 

今回、結末がポジティブになっており、昔見た実写映画版のあのやりきれない現実の叫びから救われた気がします(笑)。

そして若さへの羨望が生まれましたね。 

 

今この時代に改めてアニメ化された意味は、17年前抱いた気持ちの回収だったのでしょうか。私の中では17年ぶりにあの時の感情を消化できた気がします。

 

というわけで最速の所感として報告しました。

 

年末年始に是非観てほしい作品です!

 

 

 

(原作の小説もいいので紹介します。↓)