秋葉界隈で働く人のアニメレビュー

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作者の後日談から考察する「五等分の花嫁」の存在しなかった三玖の存在

「五等分の花嫁」の結末をご存知でしょうか?

原作は2020年に終了しており、興味がある方なら当然チェック済でしょうね。

その上で中野家の5姉妹の中で一番人気のあった三玖について考えてみました。

 

 

 

 

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話を進めるとネタバレになってしまうので、もしも純粋にこれからアニメで物語を楽しみたい方はここでお別れしましょう。

漫画「五等分の花嫁」は作者の仕掛けた伏線とその回収を予測する、難解かつ推しを選べるラブコメ作品でした。

故に決着が着くまでは議論がまき起こり、推しを応援したくなるのです。

 

 

 

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(出典:pocket.shonenmagazine.com/article/entry/gotobun_3)

 

1.中野家の人気ランキング1位は三玖

  

改めて三玖は「五等分の花嫁」において最も人気のあるキャラクターでした。

よって連載中もアニメ放送開始後も、(私の知る限り)どのランキングをみても1位はいつも三玖でした。

2位以下のキャラクターに関しては、バラツキがありエピソードによって順位が動きました。

 

 

ranking.net

 

subculwalker.com

 

特に一花とニ乃の変動が激しかったように思えます。

ですが、三玖は不動の1位です。いかに読者にファンが多いかわかりますね。

 

 

2.ラブコメの目線と三玖

 

少年誌のラブコメにおいて、王道のテンプレは、

なんでダメな俺のことをこんな美少女が好きになってくれるんだろう...ですよね(笑)。

何でも出来る美少年の主人公が美少女たちにモテモテの話に誰も興味を持ちません。

(少なくとも私は断固として共感できません。)

 

「五等分の花嫁」の主人公風太郎は果たして、共感を得れる存在だったでしょうか?

学年一の秀才、5姉妹に好かれ、鋼の心を持つマイペース。

正直言って親近感は湧きませんね。

では、どのキャラクターが一番親近感を得れる存在だったのでしょうか?

 

私は三玖だったのではないかと考えています。

 

 

以下、5姉妹の性格の寸評です。

 

一花 

お姉さんの呪縛に憑りつかれたしっかり者。姉妹の関係が壊れても本能優先型

 

ニ乃 

振れ幅の大きいツンデレ。好きになると豹変する感情型

 

三玖 

根暗で人見知り。心を開くとすべてを捧げる奉仕型

 

四葉 

本音を出せない屈折した天真爛漫型

 

五月 

素直になれない王道のヒロイン型

 

 

5姉妹を並べるとニ乃と三玖は同じ傾向があることに気づきます。

多分これは同一人物の性格を分離した結果なのではないでしょうか?

 

それもそのはず、作者は後日談で三玖は最後に追加したキャラクターだと振り返っています。

 

news.livedoor.com

 

 

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三玖の人気の秘密は親近感でしょうね。

根暗で歴史オタク。

不器用ながらも最初に風太郎に好意を示したことも応援したくなるシンパシーを感じました。

やはりその不器用さに焦らされる展開と風太郎の浮世離れした恋愛観に手を差し伸べたくなるのでした。 

髪型以外ほぼ同じ容姿を持つ五つ子ですから、早い者勝ちにして欲しかった読者も多かったかもしれません。

みんな三玖のことが好きになる流れが出来ていました。

 

これが作者の仕掛けた幻影であり、読者の目を三玖に向ける仕掛けだと思いました。

そんな単純に進むわけがないことも分かりますが、それでも心を揺さぶられる存在。

最初に言っておきますが、三玖は明らかに読者のセンターラインに持ってきたキャラクターでしたね。それは存在しなかった姉妹だからでしょう。

 

 

3.三玖が負ける必然性

 

先行する三玖に対して、他の姉妹たちがどんどん追いついてきます。

特にニ乃の豹変と猛追に関しては読者も困惑したかもしれません。

完全にツンデレ狙いだと透けて見える展開も、このストレートな愛情表現に徐々に虜になるファンが続出しました。

朴念仁の風太郎にはこれくらい分かりやすい方がよいのでしょうね。

もはや物語後半は別人格でした。

 

恋愛漫画において定説化している”最初に好きになったほうが負ける”のフラグをご存知でしょうか?

このパターンは枚挙にいとまがありません。

その設定を逆手にとった様々な作品も生まれていますよね。(以下)

結果として三玖もこのパターンに当てはまったのかもしれませんね。 

 

dengekibunko.jp


原作漫画10巻において姉妹たちの協力もあり、三玖はいよいよ風太郎に告白します。

最終的には気持ちをごまかしますが、おそらくこの場面が物語中の三玖のハイライトだったように思えます。

そしてここで三玖の脱落が決定的になった瞬間でもありました。

それは風太郎が興味を示す決定打にならなかったからでしょうか。

 

その後の物語は人見知りで不器用だった三玖の成長を描いています。

同時に闇落ちした一花や暴走が止まったニ乃も脱落したと言っていいでしょう。 

花嫁になれる正当性が失われた時点で三玖(一花もニ乃も)は最初から花嫁にするつもりがなかったことが分かりました。

いかに読者にそのことを悟られないように四葉と五月のマッチレースに持って行くかが残りの物語の展開でしたね。

 

三玖推しの読者は本当に最後まで三玖が結ばれれると思ったのでしょうか。

私はすでに風太郎の花嫁を推理するというメインストーリーと確実に選ばれない親近感のある推しキャラを楽しむ嗜好に分離していたと感じました。

 

(三玖のキャラクターブックでもっともっと深堀してもいいかもしれませんね↓) 

 

 

 

 

4.作者の仕掛けた三玖の存在

(出典:『五等分の花嫁』第1巻。第4話)

 

 

 

 

少年誌において読者のほとんどが男性であること、しかもテンプレとしても弱いヒロインを応援したくなるのは必然でした。

素直じゃない正統派の五月、天真爛漫な四葉、別の世界を持つ一花、ツンデレのニ乃。

こう並べると三玖だけぽっかり個性が抜けて、人見知りや根暗といった性格は明らかに弱く見えます。

だからこそ意図的に風太郎が姉妹と溶け込む最初のインターフェイスの役割を与えたのかもしれません。 

 

これは私の考える作者の思惑ですが、おそらく三玖にこんなに人気が出るとは想像してなかったんじゃないでしょうか?

だからその後も強い個性を与えるのではなく、人気のキャラクターとしての初期設定を維持したまま結末を先伸ばしするための煙幕に使われたと想像します。 

結果としてその関係性が最後に三玖自身の方から風太郎を卒業していく流れを演出しました。

そもそも最初から存在しなかった姉妹の一人、だけど読者の心に最も近づいたキャラクター。その結果、風太郎側の心には最後まで刺さらないわけです。

 

それは三玖自体が実は読者の理想の側にいたからかもしれません。

 

 

5.三玖の物語からの離脱

  

物語後半、読者は薄々三玖が花嫁にならないことを悟り始めます。

これは写真の少女が四葉と判明し、1巻冒頭から付かず離れずを繰り返す五月のポテンシャルがヒロインの正当性を匂わせ始め、三玖の存在価値が変わり始めたことに繋がります。

また、作者が読者に迎合しないことも長い間物語を一緒に走り続けることで自然と腑に落ちる結果になりました。

その結果、読者は途中から風太郎の花嫁としてではなく自分自身を映す鏡として見ていたのかもしれませんね。

それは物語からはいち早く卒業して、読者が三玖というキャラクターに依存することにすり替わって行ったのではないでしょうか。

 

存在しなかった姉妹という存在を利用して物語を回し、結果として一番読者の側(理想)にたった三玖は一体何だったんでしょうか?

最初から選ばれるはずのないヒロイン...

 

そう考えると結果として最後に生み出された三玖という存在が「五等分の花嫁」をここまで面白くしたのかもしれませんね。

 

(ちなみに私はニ乃推しでした。二乃のキャラクターブックも紹介します↓)