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異世界系ラノベのテンプレあるある

2021年シーズンも続々とラノベ系アニメが生まれています。

「無職転生~異世界行ったら本気だす」「転生したらスライムだった件」などの俗に言う”なろう系”は最近のトレンドですね。

そこで多くの作品でみられる共通点や手法がテンプレート化していることに気が付きました。

今回は過去の名作を含めた異世界ラノベ系アニメの”あるある”ネタを考えてみます。

 

 

 

 最初にまとめ

 

今回は最初からまとめておきます。

 

異世界ラノベのテンプレは、

 

読者にRPGのリテラシーがある 

 

→チートによる展開の速さ

 

→でも信頼は時間が必要という教訓 

 

→”あるある”の浸透による因数分解で土台が出来ているから読みやすい

 

 

以上の構成がお約束のように思います。

 

 

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(引用:mushokutensei.jp)

 

 

1.既出感はむしろ良し

 

 

ライトノベルの歴史は諸説ありますが、1990年代に認知され始め、2000年代に少しずつ広がり、2010年代に花開いた比較的新しいジャンルの小説です。

従来型の小説は出版社への持ち込みや新人応募で選出され発表されるのが通例でしたが、近年ではオンライン小説も登場し、2010年代には”小説家になろう”などの発表の場が1つの流行になってきています。

 

特に2010年代の投稿者の多くは1990年代以降のTVゲームの影響を受けており、ゲームの世界観からインスパイアしたファンタジー・SF・ミステリー・恋愛などを中心した作品が多く発表されるようになっています。

すでにアニメ化された代表的作品は以下になります。

 

www.ten-sura.com

gagagabunko.jp

sneakerbunko.jp

 

特に最近のラノベはメディアミックスが前提になっており、表紙・挿絵にイラストレーターを起用し、その後そのイメージのままアニメ化・コンテンツ化に向けた手法がとられています。

その中で特にドラクエやFFといったRPGゲームから想起されたファンタジー作品が特徴的です。それは世代的に作者たちの多くがが1970年代~1990年代生まれだからでしょうか。

爆発的ヒットで社会現象になったドラクエⅢが発売されたのが1988年。その後FFも同様にヒットしたことよって、2大RPGとしてゲームの世界観の伝播に影響し、一般化していきました。

 

 

このRPGの世界観こそ、その後ラノベを生み出す源泉になったことは間違いないでしょう。

設定を利用し、独自のストーリーを描くことは共通認識として成立していきました。やはり、読者にファンタジーの説明不要のリテラシーが備わることで表現がイメージしやすくなりましたね。

この世代の作者と読者は、ある意味定番フォーマットや予備知識が備わってきたことでより作品の世界観とストーリーを共感できるようになり、読者の好みによって選別され洗練された作品がヒット作になりました。

現在放送中の「無職転生~異世界行ったら本気だす」も土台があっての作品ですね。 

 

mushokutensei.jp

 

完全に”RPGの世界観あるある”なので転生した主人公が想像以上に早く事態を理解し、受け入れますよね。

これも”あるある”です。

腑に落ちるのが早すぎます(笑)。

 

 

2.チートは潤滑油

 

 

ラノベにおいて、RPGの醍醐味である積み上げ式の成長は必要がありません。あったとしても本当に初期の初期のみです。

世界観そのままに、現代の知識を持ち込むことや最初から特殊能力や裏技(チート)を取り入れることで物語のスピードを上げることが出来ました。

実際読者を早く物語に惹きこむために、特殊な能力や初期設定こそが物語を円滑に進めます。

 

例えば、

 

 

「転生したらスライムだった件」なら”レアスキル捕食者”によって初回から最強のモンスターを取り込むことで圧倒的優位な力を得ます。

 

「盾の勇者の成り上がり」なら一番戦いに向かない盾のチート的な使い方で倒した敵や物の能力を取り込んでいきます。

 

「ありふれた職業だけど世界最強」は錬成士という能力が何でも物質合成で作り出せる裏技に繋がりました。

 

このようなチートがRPGの世界観の中で”本来想定してなかった使い方”として応用されることは物語を進める円滑化とメインストーリーの軸を生み出せる結果になりました。

 

きっと読者は待ってくれません。

予備知識で端折った土台の上で、サクサク進む物語によって早期に読者を惹き込んでしまいたい狙いがあり、設定段階と初期で十分面白く出来ています。

 

これはアニメでも漫画でも第1話で面白くないと次がないのと一緒で、チートを使うことは早く分かりやすい面白さと盛り上がりに繋げる”まさにチート”だったわけですね(笑)。これも”あるある”です。

 

 

www.yonyonblog.com

 

 

3.信頼だけは積み上げ式

 

 

ここまでチートこそがラノベの特徴と言ってきましたが、もう一つの特徴が信頼・信用・仲間はチートでは手に入らないことです。

面白いのがどんな作品もチートによる強さやお金で屈服させるのではなく、理解者や仲間によって一つ一つの信頼を得ていきます。

それは信頼や信用、友情は支配できないし、どんなに強くても主人公が一つ一つ構築していくしかないと暗に教訓めいた戒めでもあるかのように見えます。

このことはチートのスピード感とは真逆ですね。

でもこの傾向も完全に”あるある”です。 

 

例えば「転スラ」ならモンスターの世界でも社会の縮図があり、信頼を積み上げていくことによって一層仲間たちが増え、チートで飛ばしていった物語のスピード感に反して、着実に丁寧に積み上げていくものになります。

以下、「転スラ」の様式ではこんな感じです。↓

 

www.yonyonblog.com

 

 

 

4.テンプレ化は土台

 

このようにラノベ特有のインターネット作品の絶対数の多さによって、早く読者を惹きこむための方法としてチートを効果的に使うことで、スピード感と個性を両立させることが出来、加えてチートでも信頼関係は得ることが出来ないことを縛りにしていることがラノベのテンプレート化しているようです。

 

このテンプレに当てはまる作品は、他に「超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!」「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」「オーバーロード」などもそれに当たりますね。

 

 

特に”ラスダン”に関しては、タイトルがすべてを物語っていますよね。

読者は”あるある”なんで説明しなくてもどういうことか分かるよね?のリテラシーを問われています。

 

lasdan.com

 

 

以上、”あるある”の要素をまとめてみました。

テンプレ化すること自体がすでに土台になって、更なる奇抜な設定や物語構成が求められており、一層特徴的なストーリーや作者の構成の技術が面白い作品を生み出しています。

このテンプレ化こそ、リテラシーを前提にした因数分解でまとめる手段なんでしょうね。

今後このお約束に大幅に反した作品も必ず出てくるでしょう。

でも、このよく出来ているテンプレがないと物語の本筋まで読者がたどり着けないかもしれないのでラノベをラノベ足らしめてい理由なんですかね。

 

この”あるある”の視点で過去の作品とこれからの作品を観てみるのも面白いかもしれませんよ。

そして、”あるある!” ”はいはい、それね!” って言いながら観ることをお約束としましょう。

そもそも読者の共感とリテラシーで成立しているのですから(笑)。