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「よりもい10話」 ”パーシャル友情”に大人の思考を持ち込んでみる

3年ぶりに観る「よりもい」は変わらずあの時のままでした。

今になって、こんな回があったよなぁ~と思いだした10話「パーシャル友情」。

何度も観たはず、でもまた発見があるなんて…。

あの時思わなかったサラリーマン的な思考で考えてみました。

 

 

 

 

10話あらすじ

 

 

ついに砕氷船からヘリコプターで昭和基地まで移動するキマリたち。

忙しく荷物の整理をする中で、結月は出発前に受けたオーディションで朝ドラの主人公の親友役に受かったことを告白します。

ただ、南極から帰った後キマリたちとの時間が無くなってしまうことに悩んでいました。

そんな中、キマリは何気なく「いいじゃん、もうみんな親友なんだし」と答えたことで結月が動揺します。

 

友達とは?友情とは?を考えさせられるエピソードでした。

 

 

 

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http://yorimoi.com/story/?ep=10

 

 

今更ながら、どうしてこの回を10話に持ってきたのか。

たしかにメンバー4人でエピソードを回している感はありますが、

南極まで来て結月の友達観を前面に出す内容は遅すぎるような…。

それは4人の今後(南極から帰った後)を予感させる暗示なのかもしれませんね。 

 

 

当たり前に出来ていることを定義するのって難しいかもしれません。

自転車の乗り方だったり、歩くこと、食べることですら。

 

友達もそうかもしれませんね。

だって友達は友達だもの。

 

そこで3年ぶりの今回は以前とは違う視点で考えてみました。

 

 

 

友達の再現性

 

長年サラリーマンをやっていると、成功と失敗を繰り返しながら熟練を積みますよね。

そして良かったこと、上手くいったことは今度は部下や同僚に教えたりします。

このことを”再現性のある仕事”という言葉を使って定義したりします。

 

要するに再現性のあることじゃないと、たまたまの産物だったり、同じようにやったつもりが上手くいかなかったりします。

確度の高い仕事をして情報共有して、最初より簡単に成果を得る。

コツや方法を確立出来れば、誰にも出来る。これが再現性の最たるものですね。

 

 

 

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http://yorimoi.com/story/?ep=13

 

 

 

じゃあ、友達を作ることはどうでしょうか?

 

仮に私の友達を別の友達に紹介したからって、

私と同様の友達関係にはならない可能性が高いですよね。

 

友達には再現性は当てはまらないってことですね。

 

 

結月が求めた「友達契約書」は、まるで友達の独占契約。

子供の頃から芸能界の仕事で大人に囲まれていた関係もあって、契約文化に身を置いていることや、同年代の友達が出来にくい環境によるものということも理解できますけど。

ここまで定義しないと安心できないほど、結月にとって友達は無形なものだったんでしょう。

無形なものを有形化することが誓約書なんですね。

 

一方で、このケースは恋人同士なら成立する可能性がありますね。

約束を守れなければ、契約破棄すればいい。

友達という関係性だからこそ、難しいですね。

 

 

 

 

友達の資産価値

 

 

以前、何かの記事で「孫の資産価値」を試算した結果が1人当たり2億円だったと記憶しています。

それは、投資という観点から考えた内容でした。

 

もしあなたが今独身だった場合、

孫を得るにはまずは恋人を探すことから始めないといけませんね。

そしてその恋人(妻)との間に子供を作り、その子供が子供を作らないと孫になりません。

おそらく30年近くの時間と子供を育てるお金を投資と考えた場合、2億円になるそうです。

 

※注) 恋人がいなくても、結婚しなくても子供は作れますね笑。

 

 

自分ではコントロール出来ないことが複数あり、

偶発的に重なりながら結果として起こる事象を最初から考えることは難しいですね。

友達の価値も同様かもしれません。

 

友達を作りたいと一念発起したとして、

自分の思い通りの友達だけが出来るでしょうか?

 

偶然隣の席になった、偶然帰り道が一緒だった、好きなアイドルやアニメの趣味が合った…。

偶然が重なったとしても、お互いが心地よいと感じなければ友達として長続きしないのも実情です。

 

やっぱり友達は作るものではなく、出来るものですよね。

孫は2億円だったと試算出来ても、友達はプライスレスという訳です。

 

(女子高生が南極に行くってこと自体も試算出来ないほどの価値ですね。)

 

 

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http://yorimoi.com/story/?ep=8

 

共有している雰囲気で通じ合えること

 

 

10話最後のシーン、キマリと結月のLINEのやりとりがあります。

 

 

「ありがと」の後に届いた、「ね」

 

そしてお互いに「ね」の一文字を送り合う。

 

 

キマリが「分かった!多分友達ってひらがな一文字だ」と言ったことで、

お互いが通じ合えることは定義できるものではなく、

共有してる雰囲気で分かりあえることだと腑に落ちるものがありましたね。

 

この表現って、今観直してもめちゃくちゃ高度だと思います。

どんなに小難しく考えても、明文化しても、

結局は「ね」の一文字の示すことは、友達同士しか通じないことですからね。

 

例えば、ギャル文字だったり、ギャル語だったりもお互いしか分かり合えない自分たちの流行語から始まったものですよね。(なんでギャルばかりに…。)

 

友達以外の他人に分からなくてもいいんです。

「ね」みたいに文字じゃなくても記号やマークでもいいです。

共有出来て、無形なものこそ、友達のような価値で示せない関係でしか成立しないことが重要なんですもんね。

 

そういった意味で、結月の「友達誓約書」とキマリの「ね」は、有形無形の好対照として上手く表現されています。

 この話の構成を考えている方ってすごいなぁ~、と改めて思います。

 

書き出しでは何で10話に持ってきた?って考えてましたが、この関係性を育てた上での「ね」の表現でしたね。失礼しました笑。

 

そんな2021年に改めて観る「よりもい」の発見でした。