4月14日に始まったアニメ「幼なじみが絶対に負けないラブコメ」の第1話の出来が残念でならないのです。
今回のアニメ化にあたり、やはり第1話の重要性を痛感しました。
鉄板だと思われたこのアニメの1話の難しさを考えたいと思います。
「幼なじみが絶対に負けないラブコメ」は2020年から何度もCMで紹介される話題の作品でした。
キャラクターデザインも良く、最近のライトノベル然としているタイトルもある意味分かりやすい、”負けフラグ”をテーマとしている学園ラブコメディです。
この作品をアニメ化するにあたり、主人公・ダブルヒロイン共に当代きっての人気声優を配置し、2021年春アニメとしては期待値の高い作品でした。
(主人公は松岡禎丞、ヒロインは水瀬いのり、佐倉綾音)
しかも放送開始は4月アニメとしては遅めの14日、否が応でも期待値は上がっていましたね。
もちろん、従来であればタイトル通り楽しめるラブコメとして、今シーズン安心して観れるスタメンアニメになると予想していました。
が、
そんな中始まった第1話を観た感想として、
中々ひどい盛り込み方をしたシナリオだったなぁ。。。と思ってしました。
…なぜだろう…?
もちろん、脚本のみなさんを批判するつもりはありません。
製作者サイドの意図や第1話の導入部分として多くのキャラクターを盛り込まざるを得ない環境だったことは容易に想像できます。
しかし、実際観ていて呆れるくらいの唐突さと展開の速さ、情報量を多さに辟易としてしまいました。
普通のアニメでも第1話は力が入っているのはよくあることです。
まずは登場人物の自己紹介的なエピソードや抱えてる問題や闇の一端を見せるような流れ、2話以降に繋がるストーリーテリングや謎を配置することが定石ですよね。
それは多くの視聴者を捕まえるために、ある程度しょうがないことです。
よってアニメの第1話は総じて面白いって印象ですよね。
(逆に多くのアニメが2話で少し萎んでしまうのが実情かもしれませんね。)
今回の「おさまけ」において言うのならば、初恋の復讐がメインテーマだったはずです。
それはティザー動画やあらすじでも明確でした。
(以下引用:https://osamake.com/story.html)
丸末晴は高校1年生の冬、天才小説家で同じ学校の同級生、可知白草に恋をしてしまった。
初恋ゆえに、何も出来ないまま時だけが過ぎ…。
そんな自分を悪友の哲彦にたしなめられたり、
幼なじみの志田黒羽にからかわれる最中、
耳に入ってきたのは、片思い相手の白草に彼氏ができたという話。
告白する前から失恋して、意気消沈の末晴。
そんな彼に黒羽が持ちかける。
「ハル、復讐しよう――。」
でも、はっきり言って、復讐に至る経緯やエピソードが浅すぎました。
主人公ハルにとって、そこまで思入れるほど何か被害を被ったでしょうか?
私には、勝手に好きになって、勝手にフラれたと勘違いしただけで、
「復讐」という大仰な言葉を使うほどの内容ではありませんでした。
加えて言うならば、
劇中いきなり現れた幼馴染のヒロインにとっても、「復讐」をけしかけるほどの動機付けが分かりにくいことでした。
今回のメインテーマですよね。
これ、腑に落ちた人いたでしょうか?
妄想よりもひどいストーリーに、迫ってくる幼なじみも大胆かつ唐突。。。
私は他に見せ方があったんじゃないかと思ってしまいました。
(いや、視聴者を馬鹿にしているレベルのストーリーでしたね。ハンバーグとカレーさえ出しておけば問題ないでしょ的な笑)
最近のアニメでは、原作派とアニメ化版のオリジナリティを求める派と二通りあり、前者の方が多い傾向があります。
原作が漫画だったり、ラノベだったりすることで従来の30分アニメの枠に収まらないこともあり、脚本家やシリーズ構成、原作者の役割が求められます。
例えば、アニメ1期「Re:ゼロから始める異世界生活」において、第1話は異例の1時間を割き、神回の評価を得ています。
これは後に制作側の意思が評価され、人気シリーズとなる布石になりました。
アニメ1話は様々な表現によって如実に製作者の意図や作品のイメージが現れます。
今期始まったアニメで言えば、
アニメ「スーパーカブ」のように、あえて必要以上の情報や言葉を排除して、視聴者側に想像されることで完成した作品もあります。
生活音が表す空虚さやリアリティが素晴らしかったです。
アニメ「86-テイティシックス-」は、あえて意図的に情報を点として残し、謎だらけのエピソードと迫力のある戦闘シーンで今後の線として繋がるような導入になりました。
第1話って謎だらけでいいんですよ。
「おさまけ」はジャンルがラブコメですから、そういった意味では難しいかもしれません。
同時にこれまでのような学園ラブコメの安易な表現で収めることも出来るでしょう。
原作を読んでいない立場として、あくまでアニメ視聴者としての想像ですが、おそらく原作を忠実に表現したわけでもなく、同時にアニメ版としての脚色や変更がなされているとも考えにくい内容でした。
それが残念でなりませんね。。。どっちつかずというか。。。
例えば、あえてラノベ版の弱い表現を映像化時に肉付けしたり、付け加えても良かったんじゃないでしょうか?
復讐に至るエピソードをもう少し深堀して、モチベーションに繋がる空気を醸成しても良かったかもしれません。
私はアニメ化において、あえて原作を変更することには場合によっては賛成派です。
もちろん、アニメ「約束のネバーランド2期」のように大幅変更し、ストーリー自体が変わってしまうことには閉口しますが。
ただサブエピソードや原作に含まれない日常回やサービスの水着回などはこれまでも多くのアニメで見られてきました。
アニメ化ならではの特典ですね。
それはアニメの世界観の中での多少の変更や遊びは問題ないし、むしろするべきことがアニメ化の意義と思うからです。
昔のアニメにおいて、原作の人気から早熟の状態でアニメ化して、原作に追いついてしまう前に大幅にてこ入れされた作品もあります。
昔話ですが、週刊少年ジャンプの「忍空」はその好例になった作品でした。
というのは、ほとんどがオリジナルエピソードだったのです。
|
ただ、これが非常に面白かったんです。
今のように情報が簡単に手に入る時代じゃない頃だったこともあり、アニメから原作に入ったファンはきっと驚いたと思います。
原作のキャラクター設定や枠組みを利用して、ジャンプ風アニメにいい意味で完全に乗っ取られた内容でしたが、世界観や躍動感はそのままに、それ以上の表現で好評を得ました。
(今だったら確実に炎上していると思いますが、よく出来た内容でしたね。)
そこまで極端に改変してほしいとは思いませんが、アニメ化するということは原作をそのまま30分枠で垂れ流すだけではなく、アニメ化独自のシナリオや変更は必要だと言うことです。
一言で言えば、アニメの意地というか、脚本家やシナリオライターの個性によって任されていい、世界観のままであれば変更する裁量があってもいいと思うのです。
そうじゃなければ、アニメ化する意味すらない思ってしまいますね。
今回の残念だった「おさまけ」1話の違和感と唖然失笑感に立ち戻るならば、もう少し時間をかけた登場人物のエピソードの深堀と空気感の醸成が必要だったのではないでしょうか?
具体的に言えば、主人公とヒロイン志田黒羽との幼なじみを強調するのならば回想や出会った頃のエピソードでしょう。
元天才子役ならば、その過去の活躍の一端を見せるフラッシュバックもあってもよかったかもしれません。
最後に初恋のヒロイン可知白草の美少女ぶりをアピールする環境やその性格を知るためのエピソードや闇・謎があっても良かったかな。
掘り込めば掘り込むほど、30分という時間では足りないかもしれません。
仮にリゼロのように製作者側が60分を使うような力のかけ方なら話は違ったでしょう。
ただ現実的には異例60分が難しいのであれば、やはり最初のシーンに、
「ハル、復習しようーーー」
から過去に戻るようなシナリオ改変でもよかったかもですね。(これは私の一意見ですけど。)
やはり餅は餅屋。
アニメにも30分で収めて戦わなければならないルールの中でシナリオのプロがいると思います。忘れてはならないのは原作へのリスペクトと作品の世界観。
それを守りながら遊びを入れる自由度と工夫はあって然るべきでしょう。
特に重要な第1話においてはそう思うのです。
今後どのように展開するのか、逆に2話以降のほうが良いというケースもあります。
1話で切るのではなく、2話をしっかり確かめてから判断しても遅くはないでしょう。
しかし、もしも2話以降でも同様な浅さや寒い唐突感が継続するようであれば、この作品は”名前負けのアニメ”になることは間違いないでしょうね。
そういった意味でも、2話に期待しています。
言いたい放題言って申し訳ないです。。。
でもアニメ好きとして、アニメ化とは?を考えるとちょっと許せないほどの浅いシナリオでした。
絶対この作品ってポテンシャル高いはずですから。
追記、
4/22放送の第2話を見ました。 第1話の唐突さからかなり収まってきましたね。 今後に期待したいと思います。 |