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神回だった第3話! アニメ「86-エイティシックス-」埋められない現実 

4月24日放送のアニメ「86-エイティシックス-」第3話、観ましたか?

 

これほどまでにレーナと86達との温度差を表現するエピソードを持ってくるとは…。震えました。

帝国のエリートと人型の豚として扱われる86たちメンバーとの溝を象徴する、心えぐられる回です。

 

 

 

 

 

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出典:86 OP曲より

 

ほのぼのした86達の日常を描く前半パート

 

第3話は86達の日常から始まりました。

前線に配置されながらも、出撃以外は寮のような兵舎で集団生活をする少年少女たち。

 

森から食料を採取し、女子たちの水浴びを覗きにいく。

年頃の少年たちのほのぼのとしたプロローグ。

 

兵舎ではくつろぐメンバーたちに、レーナはパラレータと呼ばれる無線(同調)によって積極的にコミュニケーションを取ろうと語り掛けます。

顔も名前も知らないながらも、任務を越えて対等な人間として関係構築を図りますが、一部のメンバーからは軋轢が生じていました。

しかし、それは見ることが出来ないレーナの知る由もないことでした。 

 

 

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ババ抜きのJokerは暗示

 

 

レーナとの会話を聞きながらも、シンは読書に耽り、クレナは猫と戯れ、カイエとハルトはトランプをしています。

そのトランプの手札が見えるようなカットが印象的でした。

 

明らかにババ抜きをしている中で、最終的にカイエがババを引くという成り行き。

緊張感のないシーンにおいて後半の出来事が暗示されているようでしたね。

 

この後、レーナに興味を持ったカイエが話しかけます。

そして積極的に86達を知ろうとするレーナに対して、カイエはあえてレーナにはこの仕事が向いていないと告げることになります。 

 

 

レーナのおごり

 

 

図書室のような場所で地図を探すレーナ。

それは戦場の地図を86達に届けるためでした。

地図自体が軍事機密のような扱いですが、前線では地図すら持っていないという現実。

 

同僚のアンリエッタとの会話で、レーナは86達と信頼関係を築いていると自信をのぞかせます。

まるで仲間になったような気になっているレーナですが、それが一方的な思い上がりだと後半パートで分かることになりました。 

 

 

モニター越しの現実

 

 

敵の出現によって出撃する86達。

地図を見ながら指示を出すレーナは以前のような蚊帳の外ではなく、より具体的に敵機の位置が目で追えるようになっていました。

レーナは手元の地図と無機質なレーダーを比較しながら的確な指示を出しているようでした。

 

しかし、モニター左に留まっている敵機に向かう1機の前に、レーナはその場所が地図では水辺の表示がされていることに気が付きます。

そのことに気づかないメンバーに必死に伝えようとするも間に合わず、「嫌だ、死にたくない…」の声を残し撃墜されました。

撃墜されたのはババ抜きで負け、レーナに興味を持ったカイエでした。 

 

 

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出典:https://anime-86.com/character/

 

その後、敵機は殲滅され戦いは終了しましたが、ショックの余り肩を落とすレーナの力のない「お疲れ様でした…。」に、元々レーナのことを快く思っていなかったセオが思いをぶつけます。

 

そして最後に「そもそもあんたは、僕たちの本当の名前すら一回だって聞いたことがないじゃないか!」と言い放ちます。

セオの怒りを誰も止めようとしないのは彼らの気持ちを代弁していたからでしょう。

 

 

突き付けられた現実とのギャップに顔面蒼白になるレーナは狼狽えます。

ここまでが第3話のあらすじでした。

 

 

感想

 

今回が神回だと思ったのは、伏線と回収壁の内側と外側の現実の対比がすごく強調されているエピソードになったことです。

今の関係性を浮き彫りにするための緩和と緊張による埋めようのない現実。

カイエの「嫌だ、死にたくない…」の直後のエンディング曲の入りも空白を埋める絶妙なタイミングでした。 

そして無機質なハンドラーの管制室にセオの怒りと本音が響きます。

今回聞かせたかった86たちの心の闇が露わになりました。

 

結局は、レーナは自身の理想と罪の意識を和らげるために86達と対等でいたいと願うものの、常に死と隣り合わせのメンバーたちにとっては高見の見物にしか思われていなかったことが最後のシーンで露呈しました。

 

最後まで視聴しないと分からないですが、物語の死亡フラグとしてカイエは象徴的な存在になっています。

ババ抜きで手札をこねても最後は高確率で回ってくるJokerが死だったのでしょう。

1話でも仲間が死ぬ描写が描かれましたが、顔も名前も分からないまま撃墜されたためにイメージが置き去りにされていましたね。

それに比べ、今回のカイエは前半の水浴びシーンから兵舎でのエピソードがあり、顔と名前が分かることにより一層の喪失感が生まれました。

 

この回はエピソードタイトル通り、「死にたくない」と思う86達の現実がレーナの心に突き刺さります。そして変わりようのない深い溝と現実を突きつけました。

 

物語1話のバトル描写で鬼人のごとく活躍したシン(アンダーテイカー)によって、ある程度スピアヘッド小隊の強さは強調されました。

相手は無人機のため、数との勝負がメインであり、数を潰す作業のように感じてしまいましたが、やはりちょっとの判断ミスが危険に直結していることや仲間が死んでしまうことは変えようのないこの世界の現実として描かれました。

 

視聴者の慣れによって緩和されてきた緊張感に、もう一度仲間を失う現実と死の怖さを訴えかけるこの第3話のシナリオ構成が素晴らしい。レーナ同様に胸に残るものがあります。

 

 

86達の本当の名前も知らない、顔も見えないレーナにとって、このことはもう一度命を懸けた戦争が行われ、同じ人間たちの死の危険と犠牲で帝国の安寧が保たれていたことを知らしめ、今後のストーリーにも影響を及ぼすことになりそうですね。

 

いやー、本当にシナリオがよく出来ているなぁと圧倒されます。

私自身もレーナの立場に置き換わったような錯覚があり、高見の見物から突き落とされたような後味の悪さを感じてしまいました。(面白かったけど。)

 

原作を読んでないので今後の展開は不明ですが、あと何人犠牲が出るのかが気になるところですね。

こういう物語においてはメインキャラクターの死が一気に緊張感を高めます。

そういった意味でも第3話でもう一度現実に突き落とすことで再度1話の緊張感を取り戻しました。

 

ますます今後の期待の作品ですね。

 

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おまけ

 

86は今のところ、私の考える2021年4月アニメの中でNo.1の作品ですよ。

他の作品も是非チェックしてみてくださいね。

 

 

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