6月19日にアニメ「Vivy -Fluorite Eye's Song-」の最終回が放送されました。
2021年4月期アニメの中で異彩を放ったオリジナル作品。
AIと人間の共生をテーマにしたSF作品として、改めて思うことがありました。
物語や細かい年表、出来事などはウキペディアを見たほうがいいと思います。(すごく細かく出来てます。)
3つだけ思うことを書きます。
本当に起こりえるシンギュラリティの件
100年後から来たAIマツモトから聞かされた「シンギュラリティ計画」が物語の主軸でした。
シンギュラリティとは、AIの技術的進歩の速度が人間を超えるという仮説のことで、実際に2045年には到達すると言われています。
現在のAIはまだまだ技術的に未成熟で、人間の設計内で収まっている補助的なものです。
例えばbotや学習型の検査・検索・提示のようなものも、まだまだ人間による演算
の延長線にあるものですよね?
SFの世界でのロボットの反乱などは過去の映画作品でも見慣れた設定でした。
しかし、現在着実に生活や仕事の中に取り入れられているAIの存在に、少しずつではありますがこのシンギュラリティが近づいているような寒気がしてしまうのです。
少なくとも、今現在のこのAIの進化によって仕事を失う人々は出てきてます。仕事を失うことは遠回しに言うと命を奪われるのと同様だと思いませんか。
(一説によると、日本で5%失業率が上がると1万人の自殺者が出るそうです。)
そう考えると、すでにAIによるシンギュラリティは始まっているのかもしれませんね。
今作品を通してAIの持つ合理性が、そのまま生産性に裏打ちされるということは容易に想像できます。
フィクションなので、Vivyやマツモトなどの人間の側に立ってくれるAIやまるで感情が芽生えたかのような表現に救われましたが、実際問題として感情はAI的に考えればイレギュラーで不合理な存在であり、合理性に支配される世界が来るかもしれませんね。
まだまだAIは生活の中のほんの一部しか登場しない2021年ではありますが、技術革新は劇的な成長を遂げる可能性が高いことから、いよいよあり得る世界が近づいてきたことにどこか恐怖を感じてしまいました。
アーカイブによる集団感染は起こりえる未来
第11話でマツモトによりシンギュラリティ計画の失敗が告げられました。
その原因はアーカイブが引き起こした、すべてのAIに対しての集団感染(集団統治)によるものでした。
アーカイブ自体も最先端のAIであり、情報更新やメンテナンスを司ることは膨大な情報更新や確認を人間が行うよりより効果的かつ効率的なことは分かります。
でも例えば、自分の身に置き換えた時、使っているスマートフォンが深夜の気づかないうちに最新版のソフトウエアに更新されていることってありますよね?
実際問題、この更新を拒否してスタンドアローン状態で使うことはほぼ出来ないと思うのです。
そうなってくるとこの問題はシンギュラリティとかそんな先の話ではなく、明日にでも起こりえる話なのかもしれません。
私はiPhoneを使っているのですが、日本国内にある4000万台以上のiPhoneも同様にiOSのバージョンアップの更新をしているはずです。
じゃあ、iOSをアーカイブに置き換えれば。。。
AIに限らず悪意があればいつかは起こりそうな未来ですよね。
(このマツモトがいいキャラでしたね。これ欲しい。)
【Vivy 新商品情報05】
— WIT_STUDIO (@WIT_STUDIO) June 19, 2021
「ACアダプター マツモト」 税込3,850円
マツモトがACアダプターになって登場!充電という使命を果たします!
6/25(金)18:00~予約開始致します。#vivy #ヴィヴィ #IGストア #WIT10th pic.twitter.com/YvX7xV18UV
最後にちょっとだけツッコませてw
これを言ったらフィクションだからと逆にツッコまれそうなんですが。。。
100年後の未来からAIのマツモトが送られてくること自体が設定としてかなり反則でしたね。
これは100年後の松本博士によるものでしたが、劇中は2回実行したデータ転送のようなオペレーションでした。
1回目は1話の100年前にマツモトを送り込んだシンギュラリティ計画の始まり。
2回目は12話のVivyを数十時間前に戻した松本博士最後の願い。
この2回を技術として実行したということは再現性のある方法(技術)があるということなんでしょう。
あくまで受け皿がAIということで、AIの存在しない太古の昔にタイムスリップするような技術ではないことは分かりますが、人間による技術として確立してしまえば何度でもシンギュラリティ計画はおろか歴史への介入が可能になってしまいますね。
もちろん物語の屋台骨のような根柢の設定なのでフィクションとして受け止めていますが、これはほぼ奇跡と呼べる内容なので、2回目の存在はもはや奇跡ではなく再現可能な技術的確立を思ってしまいました。
まあ、これは完全に蛇足ですね、はい!
要はこれ何度もやったら何でもありじゃん!って思ってしまったわけですよ…。
2回目に関しては完全にご都合主義でしたが、賛否はともかくこれもまたアニメの良さですね。
感想として
2021年7月アニメの中で、一番緊張感を保ちながら最終話まで見れた作品でした。
「Re:ゼロから始める異世界生活」の長月達平さんが脚本に参加されているだけあって、もう少しナツキスバル色(頭の中を全部口に出して解説してくれる感じ)が出てくるのかと思っていましたが、Vivyでは主人公自体がAI然とした口数が少ないキャラクターだっただけに、マツモトがそれに近い役割を果たしていましたね。
そしてそれがちょうどいい感じで物語を上手く補足・解説していたところがかなり高評価でした。
あとは劇中歌の存在でしょうか。
小難しく、緊張感のあるバトルが展開する中で、清涼剤的な役割と本編のキーワードの両面になっていることで歌詞まで頭に入ってくるいい演出になっていました。
この大事な歌唱にほぼ無名の新人(八木海莉)が選ばれるなんて、意外性とフレッシュ感がありました。
彼女を調べるとまだ10代の方みたいですね。
これからどんどん活躍しそうな予感がしました。(同郷ってのもあるので応援したいですね。)
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Vivyについて物語の本筋を何度も書きたいと思っていましたが、放送中は全く書けませんでした。
オリジナルのアニメ作品でSFを扱うと展開予想が難しく、伏線なんかも考えると手が出せなかったですね。
それくらい面白くて、予想が出来なかった作品でした。
今後2期があるような物語ではなく、最終話で綺麗にまとまったところもスッキリできるポイントかもしれませんね。
この作品はこれからアニメを見る始める人も、今回見逃して後から視聴する人も巻き込んでいける新しさがあります。
もしもまだ観てない人がいればオススメできる、記憶に残る傑作でした。
みなさんはVivyを観てどうでしたか?