秋葉界隈で働く人のアニメレビュー

秋葉界隈のサラリーマンの思ったこと

津軽三味線の疾走感!「ましろのおと」アニメの持つ表現の可能性

4月3日からアニメ「ましろのおと」が放送されています。

 

アニメ化ってばやっぱこれだよ!って感じの津軽三味線の表現力と音の迫力。

 

アニメの持つ表現の可能性について改めて思うのです。

この漫画の完成形はアニメだと。

 

 

 

 

 

 

f:id:yonyonsalaryman:20210413003847p:plain

https://mashironooto-official.com/story/ep01/

 

 

mashironooto-official.com

 

 

津軽三味線の持つ激しさや物悲しさには情念のようなものを感じます。

惹きこまれるような、人の一生を表現しているような悲哀。

なぜなんでしょうね…。

アニメ一話で祖父が演奏する津軽三味線で涙する人たちが映し出されます。

でも、分かる気がするんです。 

 

 

 

津軽三味線の歴史は幕末だそうです。

(以下、Wikipediaからの引用)

 

津軽三味線の始祖は、幕末に五所川原金木地区に生まれたボサマ「仁太坊」(にたぼう)。それまで地味な門付け芸だった三味線音楽に革新的な奏法を取り入れ、津軽三味線の原型を築いたという。仁太坊と共に、黒川桃太郎梅田豊月らが競い合いつつ、さらに時代がくだり、高橋竹山白川軍八郎木田林松栄らの演奏家が出るに及んで、津軽地方の三味線は他の三味線音楽とは全く異質な音楽として発達を遂げる。三味線も細棹ないし中棹から太棹に変化し、奏法も「叩き」を中心とする打楽器的な奏法が主流を占めた。

 

 

 

まだ北海道が未開拓の時代、幕末の津軽(現在の青森県)は日本の北限に位置する厳しい地域でした。

弘前藩10万石が占めるその場所はやせた土地であり、稲作に不向きな荒廃した地。そこから移動することも逃げることも許されず、そこに土着するしかない人々の厳しい冬と待ちわびた春を表現する民謡こそが津軽じょんがら節であり、津軽三味線です。

人間の悲哀を三線で表現する奥深さと表現力には迫力があります。

 

 

 

f:id:yonyonsalaryman:20210413024016p:plain

https://mashironooto-official.com/story/ep01/

 

 

主人公の澤村雪は、祖父であり師である盲目の津軽三味線奏者松吾郎の死をきっかけに生まれ故郷の青森を後にして東京に旅立ちます。

東京ではトラブルに巻き込まれながらも、立樹ユナに助けられ、実の母親梅子の支援によって高校生活を送ることに。

津軽三味線を通して描く、雪の探し求める音を巡る青春。

 

 

アニメではOP曲、エンディング曲ともに津軽三味線の表現が使われています。

 

 

www.youtube.com

 

 

「ましろのおと」は、

羅川真里茂による津軽三味線を題材にした日本漫画

月刊少年マガジン』(講談社)にて2010年1月号に読み切りが掲載された後、同年5月号より連載化された。

作者にとって初となる少年誌での連載作品であり、また白泉社以外での連載も初である

タイトルには「ましろの音」と「ましろノート」(ノートは音符などの意)の2つの意味がある。

2012年に第36回講談社漫画賞少年部門を受賞し、第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門にて優秀賞を受賞した

2021年4月時点で累計発行部数は450万部を突破している

ましろのおと - Wikipediaからの引用)

 

 

 

初めてこの作品を知ったのは、たしか”王様のブランチ”か何かで取り上げられていたことと友人が読んでいたことでした。

現在27巻まで発売され、なお連載中です。

 

私が初めて読んだときはまだ10巻程度までしか出ていなかった時期でした。

結局漫画喫茶だったこともあっていつかまとめて読みたいなぁ~と思って5年以上経ってしまいました。

よって今回のアニメ化は意外でした。

(なぜ今?と。)

 

 

でもその当時から思っていたのです。

これは絶対アニメ化向きの作品であることを。

 

 

音楽をテーマにした作品の漫画は総じて言えることかもしれませんが、音の表現を映像化で具現化出来ます。

 

例えば、私の大好きだった「四月は君の嘘」はクラシックの表現を、「ナナ」は実写映画でロックテイストな世界観を形にしました。

少なくともこの2作品は成功かそれ以上のシナジーを作品に与えました。

 

 

 

 

これこそ完成形と思わせる演者や歌い手とのコラボレーションはやり方を間違えると陳腐で大衆迎合な薄っぺらい音楽なるかもしれません。

声優さんのアイドルソング的な。。。

 

 

そんな中、今回のアニメ「ましろのおと」はその表現の真骨頂であり集大成と言えるでしょう。

なぜなら津軽三味線自体が楽器として独立色が強く、そのものを聞かせる内容だからです。

分かりやすく言うと、決して逃げが出来ない音と曲ですね。

 

他の楽器なら音を重ねたり、合奏することで表現できます。

(エフェクターで変質したりDTMのようなPCでアレンジできるような曲が溢れています。)

故にたった三線の表現力は迫力があります。

 

 

f:id:yonyonsalaryman:20210413003935p:plain

https://mashironooto-official.com/story/ep02/

 

 

第一話の最後に、雪がライブハウスで場つなぎとして津軽三味線を演奏します。

人気インディーズバンドを目当てに来たオーディエンスを魅了してしまう音の力。

これが圧巻でした。

 

 

第二話では、津軽おはら節。

母梅子が歌う民謡に合わせて林檎の花を魅せるような曲でした。


そして最後は兄弟で弾くアレ(即興曲)。

 

 

久しぶりにアニメの音楽で感動しました。

 (感動って表現だと薄っぺらいですが、心に響く何かがありました。)

 

どれも津軽三味線奏者の吉田兄弟が監修している劇中曲のようです。

だから本格的なんですね。

 

 

アニメは津軽三味線をベースした雪の青春を描く物語です。

そういった意味でも、津軽三味線を弾かない回もあるでしょうね。

 

 

でも一話がそうだったように、待ちわびて聞かせる津軽三味線は心に深く刺さります。

行ったことのない青森の厳しい冬や訪れた春をイメージさせる力が音にあるんです。

単調でしかも方言色の強い民謡であり独奏曲にもかかわらず映像を見せる津軽三味線の力は本当に凄い。

そしてもう一つの魅力は速弾きと激しさですよね。

激しさによって怒りや速さによって厳しさを表現する様も独特で音に温度がある気がします。 

 

ちなみに私は津軽三味線のファンでも、何でもありません。

ただシンプルな楽器こそ、心に響く何かがあると思うんです。

和太鼓すら叩いたことがないギター少年でしたけど、そんな私をも魅了する津軽三味線の魅力がこの作品にあります。

 

もっと雪が演奏するシーンが観たい、聞きたい。

それぐらいこのアニメの持つ表現の可能性は凄いと思っています。

(今のところ、今シーズンのアニメ作品でナンバー1の期待作です。)

 

本当、津軽三味線っていいね。