2021年4月クールに春アニメに関して、不作というYoutuberやブログ記事が目につきました。
ウソでしょ…。
私はかなりの好クールと思っています。
このまま最終回まで進めば、豊作と呼んでもいいこの春アニメについて紹介します。
新作アニメの部
まずは土曜日の2作品。
「Vivy-Fluorite Eyes Song-」、「86-エイティシックス-」です。
この2作品が連続で放送されるありえない1時間。
土曜日最高ですね。
「Vivy」はあのリゼロの作者長月達平さんのシナリオです。
100年先の未来から託されたAIの暴走を防ぐプログラムを描く、人間とAIの歴史。
無機質なAIが人間の感情を揺さぶる展開は毎回心に残るものがあります。
ありきたりなSFではなく、人間の心理に触れる作品ですよ。
「86」は、言わずもがなの電撃小説大賞作品。
毎回、壁の内側と外側の視点をレーナと86達の目線で順番に描きながら、重なり合う運命と差別の背景を丁寧に描くシナリオに、構成の巧みさを感じています。
あえて説明を加えずに、断片的な登場人物たちのセリフで注ぎ足していくいく演出も緊張感があっていい。
何度も見返したくなる作品ですね。
以下は過去の記事です。
原作漫画勢からは「ましろのおと」、「東京リベンジャーズ」。
「ましろのおと」はアニメと音楽の融合が理想的に実現している作品です。
津軽三味線の迫力の演奏と不器用な人間模様も ストーリーと相まって感情を揺さぶられます。このタイミングを待ってアニメ化して本当に良かった…。
以下は過去の記事です。
「東京リベンジャーズ」も少年誌には珍しいヤンキー漫画のタイムリープもの。
過去を少しずつ変えていき、現代で確認していく微調整が面白い。それでいてベースは過去のヤンキー漫画のようで、実際に10年前という絶妙な設定も考えさせられますね。取っ付きにくいが、実はみんなが好きな友情や勇気といった要素がふんだんに含まれている実力作品です。
ライトノベル発の女子高生ものでは、「ひげを剃る。そして、女子高生を拾う。」、
「スーパーカブ」が注目です。
「ひげひろ」は際どい内容を扱いながら、純愛をテーマにしている意外性がいいですね。沙優の可愛らしいキャラクターと性格に毎回心揺さぶられます。
複雑な過去を扱いながらここまでポップなテンポでいいんだろうか…。
でもそこが見やすいところでもあり、今後の代償と反動を考えさせられます。
以下は過去の記事です。
「スーパーカブ」は、何もない女子高生の日常がカブとの出会いでどんどん足し算になっていく心地よさがあります。
地方の女子高生の不器用で口数が少ないところも、アニメの空気感で行間を埋める演出が素晴らしい。アニメならではの表現力っていいですね。
以下は過去の記事です。
いわゆるヒーローものや怪獣枠では、今期「SSSS.DYNAZENON」、「ゴジラS.P」の2作品がありますね。
「DYNAZENON」は合体ロボットものです。
ありそうでなかったんじゃないのかな~と思いだしているのですが、今思い出せるのはZZガンダムまで記憶を遡っています(笑)。
まさか金曜10時の放送なのにしっかり玩具を売ろうとしているのか…。
と前時代感が否めないCMもありますが、人間ドラマと怪獣の謎がメインでもあります。
これは系譜作の「グリッドマン」と繋がっているような世界観があり、どこか他人事のようなヒーローが世界を救っていることも踏襲されているのでしょうか。
毎回敵が敗れた後のお約束がタイムボカンのようで懐かしさも感じますね。
「ゴジラS.P」は、ゴジラの登場に至る変化を丁寧描く迫力は、期待感の演出として過去の映画版ゴジラをさらに強調しているかのような感じですね。
高まる期待、謎への恐怖、自然への畏怖を今後もどのように繋なげて行くのかをしっかり見届けたいボンズ作品ですね。
最近、宮本侑芽さんの声好きなんですよね…。
話題作からは「不滅のあなたへ」。
1話から名作と騒がれていましたが、私はEテレ枠の放送だったこともあり、どこか地球外生命体の悠久の時間軸で描かれる歴史観察物のような印象でした。
でも2話3話と放送されるにつれて、主人公フシの主体性や成長も相まって、より人間ドラマが密接に関わっていくことが面白いと思いましたね。
着地点はどこなのか?
不死身なことや、コピー能力がどのように周りに関わっていくのか今後も注目作です。
続編作品の部
「憂国のモリアーティ 2クール」は2020年10月期からの分割2クールの放送です。
前作同様に時代背景とシャーロックホームズに繋がるシナリオの遊びに納得の作品です。制約のある時代と破滅型のストーリーの紡ぎ方は、途中経過と言っても結末を知っている物語として深く影響しているところも面白いところですね。
今後もモリアーティたちとシャーロックの2人の目線で試される展開は期待大です。
「フルーツバスケット The final」もいよいよ最終章です。
この間に2クールを挟んでいる壮大な物語の結末が故に、観ている側にも心の準備が整っていきました。
十二支の呪いに支配された一族が解き放たれる過程は大河ドラマを追いかけるような印象です。かつての人気少女漫画の傑作として、2021年版の演出に期待しています。
「進撃の巨人 The Final Season」は原作に終焉に合わせた最終章の放送です。
謎で満ちた作品の秘密と伏線の大回収期にファンならずとも大注目ですね。
私は漫画で読みたい派ですが、バトル描写はやはりアニメならではです。
最近のクールとの比較
例えば、2021年新春アニメのラインナップは以下のようなオーダーでした。
「転生したらスライムだった件 第2期」
「五等分の花嫁」
「約束のネバーランド 第2期」
「Re:ゼロから始める異世界生活 2nd season」
「ゆるキャン△ SEASON2」
「無職転生~異世界行ったら本気だす~」
…。
たしかに強烈なラインナップでしたね。
特に「転スラ」と「ゆるキャン△」は抜群の安定力。
「リゼロ」は後半神回連発でした。
「無職転生」はスケールの大きさと今後に繋がる丁寧な描き方が好評でした。
しかし、どうでしょう?
「五等分の花嫁」は1期に比べどことなく力が抜けている印象で残念だったことや、「約束のネバーランド」においては話にならない落胆がありました。
人気作の続編といえども、商業的な展開で萎んでしまうことも否定できませんね。
新作で記憶に残るのが、「ホリミヤ」、「ワンダーエッグ・プライオリティ」、「怪病医ラムネ」、「弱キャラ友崎くん」。
「ワンエグ」のようなオリジナルアニメは毎回特徴があり、有名脚本家の野島伸司さんの挑戦には考えさせられることもありました。
しかし、全体的に名作と言える作品には出会えなかった印象です。
以下、新作のみの私的ランキングです。
おそらくですが、今回の春アニメを不作と捉えている視聴者たちは俗にいう燃え尽き症候群なのかもしれませんね。
私も同じような記憶があるのですが、大河ドラマや朝の連続テレビ小説、3か月のドラマで面白かった作品に出会ったときに放送終了後に放心状態になり、同時に拘束されていた時間から解放されたいと思うように思考停止状態に陥ります。
そのことで、過去が最高で今がイマイチと記憶を過大評価してしまう傾向があるのです。
最近はアニメが増え、毎日のように何らかの作品が放送されていますし、過去の作品もアーカイブ出来るサブスクリプションも豊富ですからね。
振り返えったり余韻を噛みしめている時間がありませんものね。
でも今一度冷静に考えてほしいのです。
シャッターを閉ざしてしまうのではなく、公平に平等に春アニメの出来を評価するならば本当に不作なのかということを。
私はこのまま最終回まで今のペースで走っていければ、歴史に残る名作が生み出されるクールになる可能性が高いと思っています。
どうでしょうか?
ベタな続編大作アニメファンから歴史の目撃者の側に変われるチャンスかもしれませんよ。
さて、今シーズンの最高のアニメは何でしょうか。
※個人の感想です。