期待される7月アニメにおいて間違いなく人気になるであろう作品、
「ぼくたちのリメイク」を紹介します。
王道タイムリープものとして、気持ちがいいくらいの真っ向勝負のストーリーです。
同世代の活躍に憧憬しながら「あの時こうすれば…」と後悔している誰にでもある経験を、もう一つのルートからリメイクする期待のアニメ作品ですね。
さて、コミカライズ版で予習していきましょう。
ちなみに、
「ぼくたちのリメイク」は2017年3月から刊行中のライトノベル(MF文庫J)が原作の作品です。
|
作者”木緒なち”、イラストは”えれっと”、コミカライズ版の作画は”閃凡人”。
略称は「ぼくリメ」。
「このライトノベルがすごい!」2018年度版では、文庫部門6位、2019年度版では同7位の人気作です。
※本記事はコミカライズ版の「ぼくたちのリメイク(1)~(4)(コミックシリウス)」から出典しております。
あらすじ
主人公橋場恭也はしがないゲームディレクター。
社長のせいで様々な制作問題をしょい込みながら、尻ぬぐいの日々。
そんな中、ついに借金問題で会社が倒産してしまいます。
失意の中、実家に戻った恭也は自分と同い年のクリエーター3人の活躍に嘆息します。
それはかつて合格したのに通わなかった大中芸術大学出身のトップクリエイター。
川越京一、N@NA、
そして秋島シノ
自分の部屋を片付けながらかかってきた妹からの電話で、大切にしていた大中芸大の合格通知を持ってきてくれることになり、選ばなかったルートに思いを馳せます。
今の自分を受け入れながら後悔する恭也。
もしもあの時に戻れたらーーーーーー
次に気づいたとき、
セーラー服の妹が大芸大の合格通知を持って現れます。
動揺する恭也が確認したカレンダーは2006年!?
1か月後に大中芸術大学映像学科に入学した恭也。
シェアハウスきたやまに住むことになりました。
そこでは同い年の、
鹿苑寺貫之、小暮奈々子、志野亜貴の3人のシェアメイトと生活することに。
刺激的な芸大での授業を受けながら、
プラチナ世代といえども厳しい現実を知る恭也は
偶然からシノアキが作るイラストを覗き見ることに。
それは見紛うことのない秋島シノの作品の1つでした。
彼女こそ、10年後に活躍するプラチナ世代の1人だったことがわかります。
怖気づいていた恭也は「今度こそやらなければ」と刺激を受けます。
見どころ
コンビニバイトでナナコと親交を深め、シノアキと一緒に美術研究会に入り、
美少女たちに囲まれた刺激的な毎日を過ごす恭也。
そんな中、映像制作の授業で総合実習1が始まります。
それは「監督」「技術」「出演」「制作」の映像制作に必要な四大セクションを学ぶ初めての実戦。
4人一組のチームで行う3分間の映像作品の制作。
作品テーマは「時間」。
シェアメイトの4人で”チームきたやま”を結成します。
そこで恭也はシノアキの思い出話から着想した駅を舞台にしたアイデアを話します。
そのプロットに反応した貫之。
それは彼が温めていた小説のシナリオと全く同じでした。
まだ確証に至らないながら、
貫之があのプラチナ世代の作家川越京一の可能性を考え、
未来のアイデアを奪ってしまった可能性を危惧する恭也。
”チームきたやま”は、シナリオを貫之、構図や絵コンテをシノアキ、出演をナナコが担当し、何も才能と呼べるものがない恭也は制作を担当することになりました。
制作を「尻ぬぐい」と考えている恭也は3分という尺に収めるためにシナリオを削るかどうか思い悩みます。
それは現代でエロゲディレクターをしていた苦悩によるものでした。
恭也の妥協に失望した貫之との衝突の中、
加納先生から制作の仕事で一番大切なのことを教えられます。
もう一度貫之と話し合い、作品を良くするために本気で取り組みます。
その結果貫之のシナリオと折り合いもつき、いよいよ撮影の準備が整います。
そして撮影当日に予想外の事態が起こります。
限られた機材使用の時間の中、
ビデオカメラとスチールカメラを間違えて持ってきてしまいます。
同時に、予定していた子役が熱を出して来れないことも判明し、万事休すの状態に。
その時、現代のゲーム制作会社で仕方ないと諦めていた自分と思いが重なった恭也は「なんとかしてみせる!」と言い切ります。
それは諦め続けていた自分との決別と制作の意地でした。
制作として機転を利かせる恭也は、
スチールカメラでの撮影に変更し、新たに子役を調達し、アフレコを編集して、
何とか3分間の映像作品を完成させます。
そして上映会で発表された恭也たちの作品は
割れんばかりの拍手で賞賛されます。
残念ながら結果は3位という順位でしたが、明らかに一番の作品だったことは拍手の大きさが物語ります。
悔しがるみんなに、恭也はプラチナ世代と一緒にいれる喜びを嚙み締めます。
そしてみんなから負けたくないと意識されることで
プラチナ世代にほんの少しだけプレッシャーをかけれたことが喜びに変わります。
もう一人のプラチナ世代
前回1位だった河瀬川英子たちを加えた”チームきたやま・改”は
次の映像制作課題で1位を取ります。
しかし、役者として参加したナナコは酷評されてしまいます。
その後河瀬川からナナコの本気は演技ではなく、歌うことだと指摘されたことで険悪な空気になってしまいます。
自分の本気がダメになってしまうのが怖いナナコに自信を持ってほしい恭也は、パソコン編集で音痴を調整します。
その歌を聴いたナナコは立ち直り、夢に向かって進んでいくことになります。
そんな中で迎えた初めての学園祭。
恭也たち美術研究会はメイド喫茶で好評を得ます。
その後学園祭を楽しむ恭也に突如としてかかってきた電話で
学園祭ライブのトリのシークレットゲストのドタキャンに見舞われたことを知ります。
そこで恭也は代わりにナナコに歌ってほしいと提案します。
しかし、まだ人前で歌ったことがない、自信のないナナコは激しく動揺して逃げてしまいます。
追いかけた恭也はナナコを説得し背中を押します。
覚悟を決めたナナコは恭也を想い、勇気を出して歌います。
そこには憧れていたプラチナ世代のもう1人、N@NAの姿がありました。
アニメの見せ場
今回コミカライズ版の4巻まで読んだ感想としては、 心地よい既視感があるところですね。
タイムリープものとして様々な作品がアニメ化されていますが、誰かを救うことや世界を変えるような大仕掛けは全くありません。
それでも後悔と”もしも~”から入るストーリーとして、憧れのクリエーターたちと触れ合い、少しずつ関わっていくことで、主人公のこれまで積み上げてきたことが無駄じゃないことが証明されていくところが何だか追認されているような気持ちになります。
(自己肯定感があとからジワる感じですね。)
そして、最大のポイントは3分間の映像作品の表現力とN@NA(ナナコ)の歌唱パートになるでしょうね。
はっきり言ってこれに尽きるかもしれません。
この見せ場の出来次第でこの作品の評価が決まってしまう怖さも少しあります。
「タイムリープ+芸大生のラブコメ」と一括りにしてしまうとありきたりかもしれませんが、それに至る物語の心の機微と少しずつ信頼と心を掴んでいく主人公に加え、変えてしまうかもしれない未来という課題も今後の重要なポイントになりそうです。
ただ単純に主人公さえ救われれば良いのなら、現代で刺激を受け、憧憬の的だったプラチナ世代の活躍そのものがなくなってしまうかもしれない。
今後はタイムリープの持つ複雑さを物語にどのような投影していくのか悩む主人公を追っておきたいところです。
とにかく、この作品は間違いなく人気と期待を背負うことになりそうです。
ついつい期待して見ちゃいそうで…。
2021年7月シーズン最大の期待作間違いなしですよ。
コミカライズ版おすすめです。
|