”魔女の旅々”をレビューします。
新米魔女としての成長を通して、旅先で触れる人々とのエピソードを紡いでいくオムニバス形式の物語です。
初回を見逃してしまった関係で確認するのが遅くなってしまいましたが、第一回の評価が高かったようです。花澤香菜さんは初回のみなのかな。
いずれにしても今期アニメは粒揃いですね。
改めてですが、主人公のイレイナ役は本渡楓さんです。”防振り”とはまた違う魅力の初々しさがありますね。天真爛漫なメイプルと違い、イレイナは思慮深いタイプです。
毎回、
「ところでその美しい魔女は誰でしょう、そう、私です。」
がキャッチフレーズなんですね。少し恥ずかしいですが…。
本編は前半”花のような可憐な彼女”と後半”瓶詰めの幸せ”の二本立てでした。
魔女の旅々 第3話
微妙な(笑)OP曲”リテラチュア”
最初に触れずにいられないのがOP曲です。
上田麗奈さんの歌う"リテラチュア "。
何というか…(笑) お世辞にもいい曲とはいいづらい、捉え所のない歌ですね。
誤解なきように言っておきますが、私は上田麗奈さんは好きな声優さんなんで肩を持ちたいんですが、こりゃ微妙過ぎてフォロー諦めました(笑)。三回聴きましたが何とも言えない不思議な音程とメロディーで、魔女の住む不思議な国と旅を連想させるということで良しとしましょうか。
花のような可憐な彼女
イレイナが旅をしていると一面花畑の丘に差し掛かります。そこには赤い髪をした少女がおりました。
イレイナがこの花畑を管理しているのはあなたか?と少女に尋ねますが、花は自然に咲いていると答えます。少女は綺麗な花束を他の街の誰かに届けてほしいとお願いし、要求を受けます。
花束を持って街に入った時に門番に止められます。花束を包んであった布が門番の行方不明の妹のものに見えたからのようです。しかもこの街には花の持ち込みは禁止されており、その場で没収されてしまいます。
どうやらこの花には人間の心を狂わせる毒があり、花に魅了された人間は虫が蜜に吸い寄せられるようにその花が咲いている場所に導かれ養分になるらしいのです。
別の日にイレイナはその花園を見に行くと、案の定少女の兄が花たちに取り込まれ、養分にされていました。イレイナはその様子を眺めながら素通りして旅を続けます。
美しい花には棘がある、桜の樹の下には屍体が埋まっているのような美しいものには魅惑と対比としての醜いものが含まれているということを伝えるエピソードなのでしょうか。
第2話のように困っている人に協力を求められると介入する様がありますが、直接的な関わり方はしないようです。この世界にとって魔女の存在とは?旅をする意味とは?
問題や解決が物語の主軸ではなく、起こった事象を過去のニケの冒険譚と同様に表現するものかのかもしれません。
瓶詰の幸せ
田舎町に差し掛かると大きな瓶を持った少年と出会います。
少年は村長の息子で家の使用人の少女のために魔法で幸せの記憶を瓶に閉じめて、貯めていると言います。いつも暗い顔をしている少女を笑顔にしたいようです。
少年は無邪気にイレイナを昼食に招待し、渋々村長の家に行きます。少年と同じ年頃の少女が給仕をしており、村長は高価だったが奴隷として東の街で買ってきたと言います。その目は奴隷として卑下するだけでなく、少女の体や性的嗜好にも関わっているようでした。村長として尊大で高圧的な態度と嗜好が見えたことでイレイナは心の中で嫌悪します。無邪気に瓶に詰まった幸せを開ける少年にイレイナは少女がこのギャップに耐えきれるのかを思うのでした。
世の中には知らなくてもいいことも沢山あるということなのかもしれません。奴隷の少女にとって、その主従関係や立場、権利は簡単に変えられないことです。
無邪気さや善意によって人を傷つけることがあり、罪なことがあることを言いようのなに空気感と魔女国の世界観で伝えているエピソードです。当然、後日談はなしです。想像してくださいってことでしょうね。
感想
イレイナそのものは狂言回しのように物語の中心人物ではなく、媒体なのかもしれません。この世界の魔女は最高位の称号で、その意味でイレイナは地位も栄誉も若くして手に入れていますが、魔法で解決できないことを世の中や世界の津々浦々を旅することで体験し、子供の頃に読んだニケの冒険譚のエピソードと追体験しながら、その中の普遍性を表しているようです。
今後もニケの冒険譚の中のエピソードにどのようなものがあるか気になるところです。
まるで童話の中の不思議な世界を、駆けだしの魔女を通して体験することで世界観を表現しているのかもしれません。もう少し込み入った内容(バトルや恋や楽しみ)も含まれてくるとより人間的で身近な話になると思います。
今回はちょっとおとぎ話的でEテレ的な内容でしたね。子供向けにはちょうどいいかもしれません。